花街のおもてなし

花街のおもてなしは、芸妓や舞妓の芸やお座敷遊び※1など、客も参加しながら宴席を和ませる独特の文化である。

芸妓や舞妓、料理などの手配、座敷のしつらえなど、お客の好みや利用目的に応じたおもてなしを提供するお茶屋※2、舞妓らを住まわせ、芸事やしきたりを教えるとともに、要請に応じてお茶屋などに派遣する置屋、そして、宴席の料理を提供する料理屋や仕出し屋など、それらが協働して花街のおもてなし文化を支えている。撮影:溝縁ひろし

芸妓や舞妓が女紅場などの稽古場で芸を磨くなど、五花街が互いに競い合い、花街全体がおもてなし文化の向上に努めている。また、公益財団法人京都伝統伎芸振興財団(おおきに財団)も花街の伝統伎芸の保存・継承に大きな役割を果たしている。
お茶屋の一見さんお断りといった慣行も、お客のことをよく知ることで、より高いレベルのおもてなしを提供するためであり、おもてなしを受ける側も、花街の文化を支える一員として、お茶屋との信頼関係を築き、さらに、より深く芸を楽しむため、伝統伎芸に対する見識を深めることも求められる。

※1 お座敷遊びとしては、「とらとら」などのジャンケン、三味線を使う「金毘羅船々」、扇子を使う「投扇興」などがある。
※2 花街では、座敷でのおもてなしの場は本来お茶屋であるが、最近では料理屋やホテルに芸妓や舞妓を招いて行われる宴席も多くなっている。

<現状と課題>
様々な人によって支えられ、受け継がれている花街の文化にとって、芸妓や舞妓を育てる置屋やお茶屋の減少は、花街の仕組そのものを揺るがしかねない問題である。また、おもてなしを受ける客も、花街の文化を支える一員であるが、芸を理解し、芸の目利き役として芸妓や舞妓の成長を見守ることができる客が最近では少なくなっている。
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