お茶とともに菓子を味わい、季節を感じ、コミュニケーションを楽しみ、心をつなげる。京都で育まれた菓子の文化が未来へとつながっていくよう「京の菓子文化-季節と暮らしをつなぐ、心の和(なごみ)」を“京都をつなぐ無形文化遺産”に選定する。
日本における菓子の歴史は、古代人が採取して食していた果物や木の実が始まりとされる。その後、唐や宋、元、明のほか、イスパニアやポルトガルなどの外来文化の影響を受けながら、日本人の持つ知恵と美意識を成熟させ、独自の菓子文化を発展させてきた。
京の菓子文化は、古来より外来文化の影響を受けつつ、宮廷文化への憧れを背景に宮廷や茶道の文化と結びつく中で熟成され、独自の文化として発展してきた。京都の和菓子の中でも、宮中に伝わる伝統的な行事の菓子や茶席菓子は芸術性や文学性に富んでいる。
京都の暮らしの中で、お供えや客のもてなし、お祝い、年中行事など、その場に応じて添えられる菓子は、季節を彩りながら、人の心を表現したり、その場の雰囲気を盛り上げたり、人間関係を円滑にするコミュニケーションの道具として上手に使われてきた。
神饌仏供の菓子、門前の菓子、年中行事にまつわる菓子、季節菓子、式菓子、引菓子など様々な場面で、菓子は季節と暮らしをつなぎ、人の心を和ませている。
京都市出身の漫画家・浅野りんさん作「であいもん」とのコラボレーションにより、漫画やイラストを用いて和菓子について分かりやすく解説した冊子「京の菓子文化入門」を作成した。