見て美しく、食して美味しく
2014年6月6日
京料理「六盛」 堀場 弘之
平成6年、平安建都1200年の年に京料理の源流といわれる平安時代の大餐料理を復元し、室町時代の本膳料理、茶懐石、精進料理等1200年をかけて、現在の京料理の基礎となっています。
京都の日常食はつつましく、行事食は豪勢にという考え方があります。行事食の時は仕出しを取るか、料理屋で会食をするということが多くみられます。それは慶事、仏事も同じようにされています。京都にとっては、食事と行事はつきものだとも思われます。料理には走り、旬、なごりといったことばがあるように、季節ごとにその持ち味を生かす食材を選び、その食材の持ち味を充分引き出す調理法で料理をしています。又、設え等も、季節の花を活け、床には季節の掛け軸を掛け、その日に合う置物を設える。
そして、食事には色々なものの要素が含まれています。料理を盛る食器、季節感の形がある食器、絵柄で季節を表す食器等、その中には食事に於いて必要とされる小物等、あらゆる伝統工芸作品の数々が我々の食事をより一層楽しい食事場面に導いてくれます。
和食のマナーも必要である。「六盛」でのマナー教室も30年ぐらいになりますが、中々皆様知らない事が多く、驚いている方が多くみられます。ユネスコ世界無形文化遺産に「和食;日本人の伝統的な食文化」が登録され、和食が見直される機会に自国の和食のマナーも多くの方に知って頂きたいと思います。
料理を作るに当たり、かつおと昆布で出汁をとる。それで料理をするという事が以前は当たり前でありましたが、今は少し違う。
しかし、出汁をとり、その出汁で汁を作り、おかずを作る。ほんの少しの調味料を加えるだけで、おいしい料理ができる。そして料理は美しく盛る。「馬子にも衣装」というように、料理にも当てはまることが多い。見て美しく、食して美味しくなれば一番良い。
いつも思うことは、山・海・畑でとれた食品に感謝しながら作るということです。
今まで述べたように、京の食文化というものは食事だけでなく、歴史や食材、あらゆるものが含まれ、京都しかない風習などもあり、我々は、この食文化を料理に携わるものとして守り、伝えてゆきたいと思います。