「京の食文化」は進化し続けている
2014年6月20日
京料理「高澤」 高澤 陽一
紅葉の名所で知られる東福寺のほど近く。
そもそもは初代が魚屋を営んだ経緯から、鮮魚を使った一品にはこだわりがあり、料理を志す前から、先代髙澤米之輔と共に市場へ出向き素材を吟味する目を養ってきました。
現在も毎朝自ら市場へ赴き、目と舌でとびきりの食材を吟味している。
名物の鯖寿司は、先代より塩鯖ではなく生鯖を仕入れて一から仕込み、気候や食する側の体調などを考え、塩加減を調整し、「いつもと変わらぬ味」を心掛けております。
紅葉の名所、東福寺という立地から、各地から景色を楽しみに訪れる人々に、景色だけでなく、季節に合った旬の食材、器、設え等を厳選しております。そして、味覚だけでなく、視覚、嗅覚など五感で味わえるようもてなし、京都の四季を感じて頂けるよう工夫をしております。
日本には四季があり、又食材には「走り」「旬」「名残り」があります。それらの素材の味を一番引き出せるよう調理し、季節感を出し、食する人々を楽しませています。
また、「旬」にとらわれず、一年を通して、その時期にある食材が持つ旨味や風味が引き立つように、調味料を選び手間を惜しまず調理します。
今現在では様々な食材が新鮮なまま手に入るようになりました。昔は京都という立地から新鮮な食材を手に入れえるのが難しく、手に入るものといえば、琵琶湖の淡水魚や田畑でとれる野菜でした。そこで先人は食卓をより華やかに彩りを添える為、盛り付けや器選びなどに創意工夫を重ねて食文化をより豊かに発展させてきました。
それらに歴史、風習も加わり、京都独自の食文化が形成されたのだと思います。
受け継いだ先代からの味を守るだけでなく、あらゆる顧客の要望に応えられるよう、食材を吟味し、調理法を日々研究、考案して行きたいと思います。
また、食に携わる者として、この守り伝えるべき食文化を、料理人を志す若者に、技法だけでなく、料理の歴史や作法、しきたりなどを伝えて行きたいと思います。そして、後世に受け継いでより良いものにして欲しいと思います。
「京の食文化」は時代背景により、良いものは受け継ぎ守り、また、時代のニーズに合ったものに進化させ、現在もなお進化し続けているものだと考えます。